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すばらしい憲法とジェンダー平等の実態
8月4日、香川県母親大会で角田由紀子(弁護士)さんの記念講演を聞いた。
角田さんは、日本初のセクシャルハラスメント裁判の被害者代理人の一人でもある。
日本国憲法は世界的に見てすばらしい内容なのに、なぜジェンダー平等は国際的には
最下位級(ジェンダー・ギャップ指数が146か国中118位)に位置付けられているのか?
戦後作られた日本国憲法では、家父長制度は事実上廃止されたのだが、
実態は根強く残っているという。「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」など
という行動規範や役割分担が無意識のうちに刷り込まれているのだ。
このような意識が、戦前・戦中から戦後まで変わらず引き継がれてしまっているのだろう。
それは自然にできたものではなく、また人々の意識だけの問題でもなく、
権力者が支配を可能なものにするために作り上げたものだという。
どうすればジェンダー平等を目指せるのか?そのためにはまずジェンダー不平等の
実態を知らなければならないと言う。日本では政治の部門で特に不平等が顕著だ。
国会議員の男女比、閣僚の男女比などを見ても国際的に大変遅れている。
経済の面でも男女の格差が大きい。男女の賃金格差が大きく、また女性の管理職が少ない。
そしてまた、角田さんが特に力説していたのは、性暴力などの女性に対する暴力への
対応の遅れだ。驚いたことに日本にはまだ「セクシャルハラスメント禁止法」が
制定されていないという。民法の不法行為法による不十分な法的救済しかないままに
放置されているというのだ。また、痴漢が性犯罪であることが周知されていないとか、
「不同意性交罪」の規定が不備のままであるとかの指摘があった。
最後に、9条とジェンダー平等とを真剣に関連付けないといけないと強調された。
軍事国家にはジェンダー平等は不要で共存できないものだからだ。
p ジェンダー後進国から抜け出すために
5月3日、「平和憲法を生かす香川県民の会総会」で浜田敬子
(ジャーナリスト)さんの記念講演を聞いた。
講演のテーマは「ジェンダー後進国から抜けだすために」だった。
今日、なんと日本はジェンダーギャップランキングで過去最低の
146か国中の125位だという(2006年は80位)。特に、
経済と政治部門で著しく低迷しているという。経済部門は
123位で政治部門は138位だ。因みに、健康部門では59位、
教育部門は47位だった。
なぜ男女で賃金格差が生まれるのかというと、非正規労働者の
7割が女性だからだ。それには、日本では結婚出産などで
一旦退職すると再び正社員で働けなくなることも大きな原因の
一つのようだ。また、日本には根強い性別の役割分業意識が
強いことや、長時間労働と進まない男性の家庭進出によって
女性が正規労働者になる道を閉ざしている。したがって、
企業の働き方を根本的に変えなければ男女の賃金格差は
なくならないということだろう。
さらに政治部門では、政治は男性のものという意識や
議員活動と家庭生活の両立の難しさなどにより女性が立候補を
断念するという。女性が意思決定層に少数しかいないことが、
女性や子どもの貧困問題、国の的外れな少子化対策に
つながっているのだ。海外では、クオーター制度などにより目標を
しっかり決めて女性の権利擁護が義務化されている。
しかし日本では、自分たちの身分を守りたい与党の保守派議員たちが、
これらの政策にブレーキをかけているようだ。
それでも、都議選での女性議員の躍進や、東京で次々生まれる
女性首長などの明るい兆しが出てきている。浜田さんは、
「ジェンダー後進国から抜けだすためには、国が動かないので
あれば地域から社会を変えなければならない」と強調された。
p style= 「あらたな戦前に抗するー小さな幸せを支える尊厳が
おびやかされない社会をめざして」 日本母親大会in山口
11月25日~26日、第68回日本母親大会が山口市で開かれ、初日の全体会に
オンラインで参加した。その中で清末愛砂(室蘭工業大学院教授/憲法学)
さんの記念講演を聞いた。
清末さんは、23年間もパレスチナの難民問題に取り組んできたという。
10月にパレスチナとイスラエルの軍事衝突が始まったので、
ちょうどタイムリーな話を聞くことができた。
清末さんはお母さんの影響もあり、平和的生存権を支える9条と24条を
セットにした平和主義の探求をするようになったという。
日本国憲法の平和的生存権の主体はだれかと言えば、憲法前文にも
あるように日本だけではなく全世界の国民だとのことだ。
まさに今は、恐怖と欠乏とともにあるアフガニスタンやパレスチナ、シリア、
ビルマ、スーダンなどに平和的生存権が求められている。
その確認作業として実践と行動が必要なのだ。そしてその行動規範は、
非暴力に基づく9条と24条の精神にあり、それが
「小さな幸せを支える尊厳が脅かされない社会をつくる」ことにつながるのだという。
なぜ憲法研究者の清末さんが、パレスチナのガザ地区へ行くようになったか
といえば、小さな抵抗(小さな風穴を開ける作業)だという。
国際法上存在しえない野外監獄(ガザ)への挑戦が憲法研究者の矜持だともいう。
まずは理屈よりも行動だということだが、命の危険も顧みない行動力には
敬服するしかない。
「地獄とは、ガザのようなところ」という言葉は、本当に衝撃的だった。ガザは、
長年フェンスや壁に封鎖されており、人や物の移動も大幅な制限がされている。
(1993年からイスラエルが国際法に違反して封鎖)もともとガザは、
1948年イスラエルの建国の過程で故郷を追放されて難民になった人が
住民の70%を占めているのだが、今は事実上イスラエルが占領している
状態になっている。そして今回のイスラエルの軍事行動は、病院や学校などの
民間施設も攻撃されており国際法を無視してのジェノサイド的状況になっている。
今までは緩慢な窒息作戦の段階だったが、現在はあからさまなそして急速な
窒息作戦で追放作戦の段階にあるといってよいだろう。
(北部から南部へ戦闘地区が広がっている)
これは、DVなどのファミリー・バイオレンスとも共通の「支配欲」からきている
のではないかとの指摘もあった。
最後にまだ軍事衝突が起こる前の子供たちの楽しげな写真などを見せてもらったが、
一刻も早く休戦になって子供たちの笑顔が見られるようにと念ずるばかりだ。
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「軍拡より いのちくらし今こそ平和憲法を生かそう」
8月20日、第67回香川県母親大会で、太田伊早子弁護士の記念講演を
オンラインで聞いた。
まず、岸田内閣は何をしようとしているのか、詳しく解説があった。
岸田首相は昨年12月16日、今までの日本の安全保障政策を根本的に
転換する安全保障三文書を閣議決定した。そこには、相手国の領域内の
ミサイル基地を攻撃できる「敵基地攻撃能力」まで認めようとしているのだ。
さらに空前規模の防衛費(5年間で43兆円)を計上する予算を成立させた。
驚くことに外務省のホームページには、「平和国家としての60年の歩み
(ファクトシート)2015年7月、が載っていて、今岸田内閣が進めようと
していることと全く相反することが書かれているのだ。
そこには、専守防衛に徹すること、攻撃的兵器は保有しないこと、
防衛費は対GNP比1%程度にすること、非核三原則、
武器輸出三原則などが書かれている。
これだけの大転換をしたにもかかわらず、岸田首相は、「平和国家としての
我が国としての歩みをいささかも変えるものではない」と
平気でうそをつくのだから全く酷い。
国の安全保障を真に考えるなら、原発は再稼働などさせずに速やかに
撤退すること、食料自給率を大幅に増大させること、社会保障を充実させる
ことなどを優先させるべきだと強調された。
日本社会の現状は、非正規社員が増え賃金が上がらないので格差が増大。
多くの人が生活不安、将来不安を抱えている。そんな時に大軍拡をすれば、
教育費や社会保障費が削られるのは必至だ。このような悪法を
絶対認めるわけにはいけない。
ところで、憲法9条はどんな役割を果たしてきただろうか?
太平洋戦争では、2300万人もの死者が出たとされているが、
戦後は日本が戦争で死なせたのは0人だったことからも憲法9条の持つ
力だと再認識すべきだろう。また、視点を変えて考えると憲法9条は、
他国から攻撃されにくい憲法だとも言えるという。他国から見て脅威を
与えることが侵略の口実を与えるからだ。
憲法が実際どのように私たちの生活にかかわってきたか、
具体例を示してくれた。かつては、企業の大半で結婚退職制度という
ものがあった。しかし、ある女性が裁判を起こし勝利した(憲法第14条違反)
ことから社会の意識が変わり制度自体が無くなっていったという。
このようなことからも、憲法は私たち国民の暮らしを権力から守るものであって、
権力の暴走を止めることができる防波堤だということを再認識することができた。
本田宏さんの記念講演(平和憲法のもと
生まれてきてよかったそう思える社会に)を聞いて
7月31日、第66回香川県母親大会で本田宏(NPO法人医療制度研究会)さんの
記念講演を聞いた。
日本の政治家は、少子化について全くというほど無頓着だとの指摘があった。
なぜ多くの若い人が結婚しないのか、結婚しても子どもを持たないのか。
(出生率が上がらなければ「日本は消滅する」と警告する人もいる)
その理由の一つには、非正規労働者が増えて「アンダークラス」と呼ばれる
新しい下層階級(年収200万円以下)が出現してきたことだ。
そして、医療費や教育費の負担が大きいことが考えられるという。
世界の大半の国では、医療費や教育費が無料のところがあたりまえらしい。
日本では公的病院が少なく民間病院が80%だが、ヨーロッパでは大半が
公的の病院とのこと。また、医師不足(2017年OECDと比較して約13万人不足)も
深刻だ。さらに、日本は財政難だと真っ先に医療を切り捨てる国になっているともいう。
このところの新型コロナ感染症で医療機関が疲弊しているにも関わらず、
香川県でも4つの病院(さぬき市民病院・高松医療センター・済生会病院・
滝宮病院)が再編・統合のリストに上がっている。
国民の命よりも採算が優先だという、まったくひどい話だ。
また、日本の教育に対する公的支出のGDP比が43か国中(OECD)40位と
いうのも驚きだ。
高い学費と低い給付性奨学金受給も日本の大学の特徴だという。
(入学金制度がある国などないらしい)
結局、日本国憲法25条で定められている生存権や国の社会的使命が、
まったく守られていないということだ。
なぜ、日本の国民はこのような悲惨な状況でも怒らないのだろうか?
その一つには、日本では子どものころから「考えない教育」を受けてきている
からだという。
たとえば、暗記、制服や規則そして団体行動(小学校のころから朝礼で
右へならえとかやっていた)を押し付けて考えさせないようにしているのだ。
さらに、日本人はマスメディアを信頼する人が70%と他国よりも非常に多い
ことも原因として考えられるという。最近のマスメディアは、政権にたいして
忖度するものが多くてまったく信用できないのだが。またこのところ、
報道の自由度が下がってきて、選挙の投票率も同様に下がっているという。
(2021年10月31日の総選挙では戦後3番目の低投票率55.9%。
福祉国家と呼ばれているスウェーデンやデンマークでは85%以上も投票率がある)
これは、権力者にとっては都合の良いことなのだろう。
(政治に関心がないか、諦めているか)
しかしこのようなことが続けば、独裁国家になってしまい大変危険なことだ。
では、どうすればより良い社会が生まれるのだろうか?
なかなか難しいことだが、まずは、このような実態をたくさんの人に知ってもらうこと、
そしてよく考えてもらうことが本当に大事だと確信した。
「絶対に諦めない!」これは、本田宏さんの心強い締めくくりの言葉だった。
香山リカさん講演会
「人にやさしい国に 女性たちや子供たちの
生きづらさはどこから」 を聞いて
8月29日オンラインで香川県母親大会の香山リカさんの記念講演を聞いた。
一つ目のテーマは、『「ウツ」じゃない人なんているんだろうか?』ということで、
精神科医の香山さんらしく、いきなりうつ病の自己チェックがあった。
誰しも、「毎日の生活に充実感がない」「自分が役に立つ人間だとは思えない」とか
「わけもなく疲れたような感じがする」など思い当たるだろう。そのようなことが
2週間以上続くとうつ病が疑われるらしい。
とくに女性には危機の時期がたくさんあるようだ。思春期には拒食症や過食症の危機。
青年期にはセクハラ、パワハラ、非正規雇用、低賃金など。また、結婚出産においては
改姓、“ワンオペ育児”、夫のDVや無関心などなど。
二つ目のテーマは、『「生きる意味」をはぎ取ってしまったコロナ感染症』
多くの人は、自粛生活が続いたので心身ともにストレスが増えた。また感染への恐怖、
さらには感染させるかもとの恐怖(これは日本人独特の思いとのこと)で「人生が
すっかり変わってしまった」との切実な話をたくさん聞かされたらしい。特に母子家庭など
で生活を支えている女性の自殺者が増えたとのことだ。しかも災害時のような
「絆」も築きにくいということを話された
ここで、「がん」と「コロナ」では、世間の反応がずいぶん違うという指摘もあった。
「コロナ」の場合、なにか感染対策を怠ったのではとの非難めいた気持ちを持つ人も
いるようだ。このような否定的な烙印のことを「スティグマ」というらしい。そのような
誤解や偏見がないようにするには、常に正しい情報を得なければならないということだろう。
三つ目のテーマは、『女性や子どもを苦しめる「自己有用感」というワナ』
「自己有用感」とは、他人の役に立ったとか他人に喜んでもらったなどの感情で、
「自尊感情」や「自己肯定感」などとは異なるそうだ。
文科省は、その「自己有用感」を子どもたちに高めるように勧めているようだが、
コロナ禍において、ますます「私なんて誰の役にも立たない」「生きていてもしょうがない」
などといった「自己有用感」を感じられなくなった人には厳しい状況が続いている。
けれども、人間は「意味がある」からとか「役に立つ」から生きているのではないし
「価値のある人生」や「価値のない人生」があるわけではないと強調されていた。
生き方の多様性があってもよいのではないかとも言われた。
最後に、『社会にも声をあげながら、「私が悪い」と自分を責めすぎずに、自信をもって
進みましょう!』と締めくくられた。
「世界の子どもたちに向き合って」安田菜津紀さん講演会
5月3日憲法記念日に高松市で、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんの
記念講演を聞きました。
安田さんは、世界各地の災害や紛争の現場を取材し写真で伝える仕事をしています。
よく「平成」は平和な時代だったと言われるが、決してそうではなかったのでは
ないかとのことです。米軍は日本各地(特に沖縄)の基地から世界の
紛争地区へ飛び立っていくので、戦争に「加担」してきたと言えるのでは
ないかとのことです。そのことは現在も変わりないことですが、
決して忘れてはならないことです。
次に「カンボジア」での体験を話されました。カンボジアでは、
1960年代から30年以上もの間、内戦や恐怖政治による虐殺があり
和平が結ばれてからも、その爪痕が「貧困」という形で残りました。
今でも「トラフィックト・チルドレン」と言って子どもたちが人身売買されているのです。
そのようなつらい思いをしてきた子供たちが、自分のことよりも家族のことを
一番に心配していることに驚いたとのことです。安田さんは、
このような子供たちのために何ができるのかと悩んだすえ、
「見たこと、聞いたこと、感じたことを、だれかと分かち合う」ことならできると
思ったそうです。それが今の仕事の原点になったそうです。
次は内戦化の「シリア」についての経験談です。シリアの人たちはとても
親切な人が多いとのことです。道に迷った時などこちらから頼まなくても
連れて行ってくれたこともあったそうです。そのような国で今も内戦のために、
元の人口2200万人のうち1200万人の難民が出て行ってしまいました。
取材で知り合った多くの子どもたちも命を奪われました。そのような現場を
観た安田さんは、何も助けることのできないことに真剣に悩みました。
しかし、現地のNGOの方から「人それぞれ『役割分担』で人を支えればいい」との
言葉に救われたといいます。
また、シリアでも日本は大変信頼されているとのことです。
「憲法九条」を持っている国で他国を攻撃しないという信頼です。
そのようなことは、国外から日本を見つめないと分からないことなのでしょう。
「武力」でなく「信頼」が日本を守っているということです。
最後は、「岩手県陸前高田市」でのお話です。シリアでは、冬は寒さが厳しく
凍死する難民の子が多いそうです。東日本大震災の後、仮設住宅で
そのことを話すと、被災した住民たちが洋服を集めてシリアに届けたそうです。
なぜかと聞けば、「故郷が傷つく痛みを知っているから」とのことです。
決して恵まれているとは言えない人たちが、遠い国の人に思いはせる
「創造力」に驚かされました。そして安田さんの弱者に対する細やかな
「感性」にも大いに感心させられました。
渡辺治教授の記念講演「憲法とともにあゆみつづける」を聞いて
第64回日本母親大会 in 高知
8月25日、第64回日本母親大会が、女性参政権発祥の地・高知で2日間の
予定で開催された。
1日目の全体会では来賓のあいさつの後、渡辺治(一橋大学名誉教授)教授の
記念講演があった。一時間半に及ぶ講演では、終始熱のこもった話しぶりに教授の
憲法に対する深い理解と愛を感じることができた。
初めに、戦後自民党がどのように9条改憲を企ててきたかを詳しく振り返った。
1950年代、アメリカから改憲、再軍備の圧力があった。(50年に朝鮮戦争が始まると、
マッカーサーの指示で、「警察予備隊」という名の再軍備が始まった)
それに呼応して日本側でも保守政治家のなかで改憲を望む勢力が台頭してきた。
「マッカーサーに押し付けられた憲法を日本人自らの手で作り直す
(現在でも同じことを唱えているのが安倍首相)」と唱えた。
しかし、そのことについてはすでに事実ではないことだと決着がついており、
初めに改憲・再軍備を押し付けたのはアメリカからだったことも忘れてはならない。
次に、「60年安保闘争」によって「50年代改憲」が挫折することになった。
岸信介内閣は、改憲に並々なならぬ意欲を持ったが、強引に「60年日米安保」改定を
すすめたために労働者や市民によって反対運動が大いに盛り上がりをみせた
(特に1960年6月19日の国会前デモ)。それにより、岸内閣は批准を待って
総辞職を余儀なくされた。自民党は、戦争に対する国民の強い拒否意識を感じ、
その後30年間明文改憲が封印されることになった。
90年代になり冷戦が終わると、やはりアメリカからの圧力によって「国連PKO協力法」や
「周辺事態法」などが制定された。「周辺事態法」は、初めて米軍の軍事行動に対して
自衛隊の後方支援を認めた法律だったが、市民や野党の反対で米軍の軍事行動と
「一体化」しないように制約をかけられていたため、アメリカ側から強い反発を受けた。
2001年9・11事件を機に米軍は、アフガニスタン・イラク攻撃を開始した。
小泉政権はそれに呼応する形で「イラク特措法」を制定して自衛隊の派兵を強行した。
「非戦闘地域」という概念を持ち出して強行したが、今年になってその当時の「日報」が
公表され生々しい「戦闘地域」の実態が明らかになった。
2006年に発足した第一次安倍政権は、明文・解釈改憲同時に遂行したが、
「九条の会」の運動などにより、またしても挫折させられた。
2012年ふたたび政権の座に就いた安倍首相は、第一次政権での失敗に懲りて
明文改憲には乗り出さず「自衛隊を何でもできる軍隊」にする解釈改憲へと重点を置いた。
手始めにこれもアメリカから要求されていた「特定秘密保護法」を強行に制定した。
それは、自衛隊が米軍と一体になって活動するためには、どうしても必要になる法律だからだ。
その後、内閣法制局長官を集団的自衛権容認派の人物にすげ替えるなど強引に
解釈改憲へと突き進んだ。
ついに2014年7月1日、政府が長年「個別的自衛権」しか認めないという解釈を
抜本的に変更して「限定的集団的自衛権」までをも認めるという閣議決定をした。
これにより自衛隊が米軍と一体となって戦争に巻き込まれる恐れが出てきた。
それに対し2015年、「安保法制(戦争法)」が強行採決された頃には野党と労働組合、
市民連合などの共同が急速に進んだ。そして8月30日、国会前にはなんと12万人が
集結して「戦争法」に抗議するという盛り上がりを見せた。全国ではその前後に100万人が
行動に立ち上がったという。
そのような市民と野党の共闘に対しての分断をもくろんでか、安倍首相は2017年5月3日、
突然9条の1項、2項をそのままにして新たな条文に自衛隊保持を明記するという
「加憲案」を提示した。そのようなことを認めれば2項の「戦力不保持」は
「死文化」してしまう恐れがあるのは明白なのだ。
安倍首相がこのような「加憲」を言い出したのは、憲法9条が最大の危機を
迎えてはいるが、依然として軍事化を阻む強力な壁だということだ。
このようにどこまでも「憲法改悪」に突き進む安倍政権に対してどうすれば阻止できるのか?
最後に渡辺教授は次のように力強く2つの提案をした。
多くの国民は安倍政権下での憲法9条の改憲は望んでいないので、
「市民と野党との共闘を広げ強固なものとすること!」
「安倍改憲阻止の3000万人署名を達成すること!」
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